ガネーシャ

ガネーシャ毎日通る道筋で、前から少し気になっていた店がある。

「インド・アジアダイニング」と書かれている。私のいつものB級グルメにぴったりの雰囲気だったので、寄ってみた。

チーズ入りのナンはボリュームもあり、とてもおいしい。カレーも数種類あるようだ。

お店から出た時、ドアの両側においてある象の置物が気になっていたので、質問した。

これが、「ガネーシャ」だった。

最近、読んだ「夢を叶える象」という本の中に出てくる象の姿をしたインドの神様の名前で、テレビドラマ化もされた為、御存じの方も多いと思う。この本の中では、人生に成功したい主人公にこのガネーシャが毎日1つずつ、例えば「靴磨きをせよ」とか「トイレ掃除をせよ」とか課題を出す。これらは、誰でも毎日簡単に出来る事なのだが、実際は普段出来ていない事に気が付く。

先ず、靴磨き。高校時代、革靴を履くようになり、結構まめに靴磨きをする習慣がついていた。又、家内の父はなかなかのおしゃれで、履く靴は自分で磨いて手入れをしていた。そして、それらの靴は私の手元にあるのだが、ここしばらくは靴箱に収まったままだ。これからは、又靴は自分で磨く習慣を取り戻して行こう。

我が家は来客が多いこともあって、トイレはこまめに掃除をしている。沖縄では、びっくりした時に魂を落としてしまったと考えるらしい。落とした物は拾わなければならない。そこで、魂を落とした場所が分からなかったり、行きにくい場所だったりした時は、「マブヤーマブヤー」と言いながら、トイレを思いっきりきれいに掃除をすると、トイレの神様は力が強いのでどこへでも行ってマブヤ-(魂)を拾ってきてくれると信じられている。

風水でも、玄関は「気」が入ってくる所なので、靴も含めて玄関回りをきれいにして置くことは運気を上げることになるらしい。トイレを含めた水回りも風水の観点から言えば、結構重要な場所であるらしい。いずれにしても風水であるから、空気や水といった自然に流れているものを滞らせない事がポイントのようだ。

この本の中では他人の為に何かをするということも強調されている。

たまたま、最近見たテレビで「成功した人たちの素顔」と、言うような番組があった。その中で、この本にも成功者の一人として登場するウォーレンバフェット氏も取り上げられていた。彼はバークシャーハザウェイという投資会社を経営し、巨万の富を手に入れた。それでも、私生活では結構質素らしく、他人の為にも労を惜しまぬ人間らしい。

わが国にも「情けは人の為ならず」という言葉があるように、洋の東西を問わず、他人のために労を惜しまぬということはひいては自分の為になるらしい。

 

ガネーシャが出した最後の課題は「無いものを探すのではなく、既に満ち足りているものに感謝をする事」なのだが、いつもいつも外来で、家族や周囲の人達すべてに不満を言い募るある患者さんに「『朝(あした)に感謝、夕べに感謝』ですよ」と語っていたら、本当に実践したらしく、全く別人のように良い人間になってしまったという経験がある。

老いの坂を一つ越えると後は長い下り坂。

これまでの長い道のりに感謝し、先々に幸福が待っているようガネーシャ様に祈りつつ日々を送る事にしよう。

伏見医報に投稿した拙文より(一部改)       院長 仁木俊平